74.東京のモノレール乗り歩き


 全日空が1日乗り放題チケットを発売した。従来から鉄道会社は「青春18きっぷ」に代表されるフリーチケットを発売していたが、全席指定の飛行機でこのような切符が企画されるとは夢にも思っていなかった。
 高値の華の飛行機を何回乗っても1万円という切りの良さがいい。さっそくインターネットで空席を見てみると、東京便もまだ十分早朝深夜には余裕がある。せっかくだから何本も乗ってみたい気もするが、東京往復だけでも深夜格安バスツアー並の安さ。
 東京に着いたらかなり時間が取れるので、昨年冬に全通したりんかい線、秋に開業した芝山鉄道に乗りに行こう。行きは羽田行、帰りは成田発が予約できたから渡りに船。
 それでもまだ時間があるから、東京近郊の落穂拾いをしよう。東京ディズニーラインと上野動物園モノレールという2つのモノレールが未乗だ。羽田からの移動も東京モノレールだし、モノレールをテーマにルートを組み立ててみる。ついでに新橋仮駅から本駅まで未乗のゆりかもめにも乗ってすっきりしよう。
 さらに今日は千葉のY氏が同行してくれるのも心強い。

 自宅を4時半に出て車で2時間。やたらと赤信号で停めさせられるのがうっとおしい。速度超過対策なのだろうが、あまりにもやりすぎだ。発進時にはエンジン音も高まるし、CO2も多く出るだろうから環境にも悪いし、何よりストレスが溜り余計に事故の元だ。もそもそと苦言を呈したい。

 駐車場に車を停め、南ターミナルへ。
 チケットレス発券を試みるが、クレジットカードを入れたところで機械が止まってしまう。呼び出しボタンを何度も押すが係員が出てこず、近くのカウンターの女性係員を思わずどなりつけてしまう。これではまるで某レールウェイライターのようでぞっとしない。赤信号ばかりの道でいらいらしていたからかも知れない。無事係員操作で発券できまずは一安心。
 カウンター近くのパン屋さんで焼きたてパンとコーヒーの朝食を済ませると機嫌が治る。空腹も影響していたのかも。

 7時過ぎ、搭乗手続きが始まる。モバイルギアと携帯電話を別にX線で通す。
 改札を通り通路を渡ると、いよいよ久しぶりの飛行機。宮崎空港線乗りつぶしの時に宮崎−伊丹便ANAに乗って以来。
 空は小雨混じりの重い雲に覆われている。無事飛び立ってくれる事を願う。
 席につきモバイルギアを開いていると、離陸までは飛行機の電子機器に影響を及ぼす恐れがあるので電源を切って欲しいとの事で、安全航行に協力する。ペースメーカーに与える携帯電話の電波の影響は過剰反応だが、飛行機は電子部品の固まりだから塵も積もれば影響も大きいだろう。携帯電話の電源も久しぶりに切る事にする。

 7時15分、ほぼ定刻通り滑走路を進み始める。いよいよ飛び立とうとする時は何度乗っても手に汗をにじませてしまう。これだけの大きな機体が空を飛んでしまうのが理論的には分かっていても、心のどこかに不安が残るのだ。
 大阪上空をぐんぐん高度を上げてゆくと、雲の上に素晴らしい青空が広がった。下から見る雲は黒みがかった灰色だが、上から見ると大雪原の趣。いいフライトになりそうだ。
 機内サービスのよく冷えたウーロン茶を飲みながらしばしくつろぐ。
 雲が切れると太平洋の上を飛んでいる。青い海の色の上を白い雲のベールがたなびく様も美しい。
 木更津上空から徐々に高度を下げる。タンカーの行き交う東京湾、横浜ベイブリッジ、そして高くそびえる富士山の眺めが見事。
 翼がタラップを下げ徐々に広がってゆく。順調に滑走路に向かって降り立ってゆく。タイヤが滑走路に着いた瞬間の安堵感は何度搭乗しても変わらない。

 ターミナルの動く歩道を乗り継ぎ、モノレール空港駅へ。Suicaに3000円チャージして東京のモノレール乗り歩きを楽しもう。
 モノレールの先頭車の3列ほどの席が1つ空いており、前方の眺望を楽しむ。
 地上に出ると空港をぐるりと回り東京湾岸を進む。意外とスピード感のある走りが心地よい。カントのついたレールはちょっとしたスリルも味わえる。

 天王洲アイルでりんかい線乗り換え。案内が要所に掲げられており迷わずたどり着く。ご多分に漏れず深い地中の駅である。
 この路線もSuicaが使えて大変便利。少し多めにチャージしたが案外使い切るかも知れない。
 1区間ひとまず完乗して新木場へ向かう。予定よりかなり早い到着となった。
 まだ同行する友人が到着しておらず、ホームの端で特急を眺めて時間をつぶす。浜風が容赦なく吹き付けて身震いする。
 予定より1本早い電車で来てくれたのはだから本当に助かった。この場を借りて感謝の意を表したい。
 普通電車でわずか2駅。楽しい雰囲気があふれる舞浜駅に到着。

 駅を出て左手にディズニーリゾートラインの駅が設けられている。家族連れやカップルでにぎわうこの駅に男2人で乗り込む。
 改札前でオリジナルパスネットカードが発売されており、迷わず購入。ミッキーの形の雲を背景に車両が並ぶデザイン。このリゾート地のモノレールでもパスネットが使えるのは非常に嬉しい。どこでも使えてこそ共通カードの強みが増す。
 プラットホームも入線した車両も遊び心いっぱい。非日常空間を自然に演出出来ている。さすがは現在の日本で一人勝ちしている遊園地だ。
 園外を1周しながら少しずつディズニーランド・ディズニーリゾートの園内が見える。いつかは遊びに来ようと思っているのだが、関西からだとなかなか費用と時間の両立するプランがないのが辛いところ。

 再び京葉線で新木場まで戻り、りんかい線の大崎まで乗る。10両編成の車内はがらんとしていて、定着するにはまだまだこれからといった感じ。お台場とディズニーランド、また新宿方面からお台場への近道という利便性をもっとアピールすればと思う。
 トンネルから抜けると山手電車区を右手に眺めながら山手線と合流。大崎からは多くのお客さまが乗車するようで、別会社というハンディも利用者伸び悩みの原因だろう。

 (執筆:2003年 2月 1日・公開:2003年 2月 2日)

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